巻頭言
年頭所感
日本呼吸ケアネットワーク理事長
宮川 哲夫
JRCN NEWS 2005.2.21 No,16
あけましておめでとうございます。皆様におかれましては益々ご清祥のこととお喜び申し上げます。2004年2月、日本呼吸ケアネットワークが立ち上がり、一年を迎えます。
呼吸ケアの安全と質の向上を目指し、今年も皆さんと共に歩んでいきたいと思います。
昨年12月には米国ニューオリンズにて第50回国際呼吸療法学会(AARC)が開催され田中副理事長、野口理事、金子監事、鵜澤学術委員、小生が出席してまいりました。
そして、international council(国際評議会)の日本のgovernor(代議員)に関して、委員長のJerome Sullivan、Bill Kashiwazaki、Lonny Asuward、田中副理事長、野口理事、金子監事、小生、湘南鎌倉病院の外科部長の渡部先生と会議を持ち、渡部先生と小生が、正式な日本のgovernorに選出されました。
また、international councilの国際会議では、JRCNを設立した趣旨、組織の概要、会員数、活動内容、第3回呼吸ケアセミナー、AARCとの今後の関係について、報告致しました。そして第4回呼吸ケアセミナーの開催予定のことを話しましたら、委員長のJerome Sullivanが、AARCの現会長のJohn D Hiser、Executive Directorの San Giordano、AARCのフェローであるBrian Okaを引き連れて来日し、講演をしてくれることになりました。JRCNの為なら協力を惜しまないと、JRCNの今後の発展に向けとても嬉しく、力強いお言葉を頂きました。きっと素晴しい第4回呼吸ケアセミナーが開催されることと思います。
それから、San Giordanoとも会議をもち、JRCNにAARCの出版物の翻訳および出版に関する使用権を正式に授与されることになりました。いろいろなガイドラインやRespiratory Care の特集号が、英語で正式に出版されるよりも早くJRCNの手元に届くことになります。このことは皆様の元にいち早く素晴しい呼吸ケアの情報を届けることができ、今後のJRCNの発展が期待されます。
2004年は基盤作りの一年で、情報発信などまだまだ不十分でしたが、呼吸ケア先進国米国との関係において、念願であったより良い教育制度の確立という目標においてもJRCNは一歩前進しました。
今年は、より多くの会員に参加していただけるよう、もう一つの目的である、情報ネットワークの確立を進めてまいりたいと思います。一人でも多くのそばにいるお仲間の参加を促していただき、活動範囲を広げてまいりたいと思います。皆様のご協力をお願い致します。
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展望21century
昭和大学附属豊洲病院 内科
田中 一正
JRCN NEWS 2001.3.25 No,1
2000年11月、全日本国立医療労働組合調査にて国立病院の43%で、過去3年間に人工呼吸器に関連した医療トラブルがあったと報告されました。調査は全国213病院のうち回答が得られた51病院190病棟についてまとめられており、トラブルの内訳は管やコンセントがはずれるなど接続に関するものが22%、アラームが鳴らなかったり、加湿器の不調が12%、突然作動しなくなるなどの原因不明も9%あったと伝えられました。同調査は、病院に専門の技師がほとんど配置されておらず、人為的ミスの危険に加え、機材の老朽化などメンテナンス上の不安があると指摘していました。
1989年古賀俊彦先生が久留米の自施設において開催された第一回目の呼吸療法セミナーの巻頭言には、呼吸療法に関する知識やテクノロジーは質量共に急速に増大し、これからの呼吸療法は医師を中心に看護婦(士)、臨床工学士、理学療法士、薬剤師、臨床検査技師など巧妙にシステム化されたチーム医療でなければ良質で均等な医療を提供できない、と記されています。
先の新聞報道ではとても10年もの歳月が流れチーム医療の整備が進んできたとは思えません。
現在呼吸療法に従事する人たちに、呼吸療法専門職としての国家資格はなく、各専門職種の上に自発努力により習得し、その知識と技術を活かす状況にあります。現状では関連する職種の国家資格だけでは、呼吸療法全般への参加には制限が多いのも事実です。また、国家資格で無い分、呼吸療法士としての認知度が低いのも事実です。21世紀の世として、呼吸療法士としての認知作業は、医療上の制度策定として体制作りが必要であることは言うまでもありません。しかし、多職種間上にあることは逆利点として、それぞれの専門職種間の上に、横つながりの連携で共同作業が行えている点です。単に呼吸療法士としての知識教育だけでなく、それぞれの専門職に呼吸ケアの専門知識を習得するわけですから、我が国独自の呼吸ケアチームとして専門職集団チームの発展に繋がる利点でもあります。
日本には、21世紀の呼吸ケア従事者の架け橋になるべき呼吸療法士先進国のアメリカで呼吸療法士資格を修得した先達がすでにいます。今も留学している方がいます。
今後、日本の各施設での呼吸療法研鑽者の受け入れと全国で関連する職種間での呼吸療法専門職の育て方如何が、先の調査に指摘された呼吸ケアの不安を解消してくれるはずです。
患者さんに良質な医療が提供できる呼吸ケアリハビリテーションの環境作りこそ、21世紀に向けた指針であるべきです。
21世紀、コンピュータによる機械化が進む中、より良質な人と人との触れ合いが求められるものと思います。
20世紀に出会った多くの仲間と21世紀に、呼吸ケア従事者の真のチームワーク構築作業をしましょう。
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人工呼吸安全管理と責任
和歌山県立医科大学 救命救急センター
篠崎 正博(しのざき まさひろ)
JRCN NEWS 2001.7.16 No,3
人工呼吸に関する事故が新聞やテレビなどで頻回に報道されています。人工呼吸管理に長年携わっている私はこれらの報道があるたびに責められている錯覚に陥り、こころが痛みます。人工呼吸器は生命維持装置ですが、異常の発生や誤った使用法は、当然生命に危険を及ぼします。しかし、その使用に関しては現在法的な規制はありません。人工呼吸がわが国で普及し始めて、約30年になりますが、この間人工呼吸器の性能はすばらしく向上し、人工呼吸器はICUのみでなく一般病床、さらに在宅でも使用されており、実働の人工呼吸器台数あるいは保有人工呼吸器台数は相当の数にのぼると思われます。当大学での人工呼吸器は昭和46年には5台でしたが、平成元年には15台、現在55台あります。わが国の人工呼吸器保有数のみでなく人工呼吸に関連する事故発生の実態は全く不明ですが、人工呼吸器の普及からみると、人工呼吸器の性能が向上したとはいえ、人工呼吸器に関する事故は増加しているものと考えられます。医療事故で多いのは投薬事故、続いて処置事故でありますが、処置事故の中でもおそらく人工呼吸器事故は生命維持装置のためにもっともミゼラブルの結果が予測され、患者およびその管理当事者にも禍根を残します。患者の生命を守るために、また人工呼吸を携わっている医療関係者を守るために、人工呼吸中の事故を無くす必要があります。
日本呼吸療法医学会人工呼吸安全管理対策委員会は人工呼吸療法に関係する医療事故多発の事態を重く受け止め、「無事故」の実現のために、実践的な安全使用のための「人工呼吸器安全使用のための指針」を作成しました。この指針で医療機関における人工呼吸安全管理体制では人工呼吸安全対策委員会の設置、人工呼吸器管理専門技術者の設置および教育システムの整備を推奨しています。また、人工呼吸療法を施行する部署としては集中治療施設あるいはそれに準ずる施設であること、一般病室で人工呼吸療法を施行する場合には適切な警報装置を備えている人工呼吸器を使用すること、心電図、呼吸数、パルスオキシメータなどによる連続的にモニターできること、人工呼吸器の警報、モニタリング情報がナースステーション等でも監視できることなどを薦めている。人工呼吸器の操作・点検に関しては、機能点検、使用前点検、使用中点検、使用後点検、回路交換・加温加湿器交換時点検および定期点検の点検表をつけて点検に関する指針を示している。また、人工呼吸中の偶発事故を取り上げ、その原因および対策についても述べております。
人工呼吸器事故で現在責任を持たされているのはほとんどが現場の看護婦(士)です。人工呼吸管理のプロではない看護婦(士)が責任をとらされる現在のわが国の制度には疑問を感じます。アメリカとわが国での最も大きな違いは呼吸療法士の制度であります。一昨年AARC(American Association for Respiratory Care)のinternational fellowshipとして、サンフランシスコのベイエアリアおよびオハイオ州のトレドに2週間、病院および在宅の呼吸管理の実地研修を行なってきました。病院内および在宅においても人工呼吸管理はRRT(呼吸療法士)が施行していました。わが国とアメリカにおける人工呼吸による事故発生率について調査検討をすべきではないかと考えております。
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コメディカル発
現場密着学習会そして自主製作セミナーへ
チーム医療CE研究会 総会長
多田 健二
JRCN NEWS 2003.7.25 No,11
いまから15年前、救急室や手術室、集中治療室などで孤立して働いていた技士らが中心となり、情報交換と自己研鑽のための学習会を大阪で始めました。これがチーム医療CE研究会の始まりです。メンバーは特定の職種に限定しないで、臨床工学技士、理学療法士、臨床検査技師、看護師など多職種が集まりました。学習会で取り上げるテーマは呼吸療法とME機器管理が中心ですが特には規定せず、必要と希望により様々なテーマで、数人の勉強会から数百人のセミナーまで、いろいろな学習会を実施してきました。
2年前に新構想でスタートさせた臨床セミナーはJRCNの後援もあり、おかげさまで今年3年目を迎えます。本年も関係皆様方のご協力により、大阪、名古屋、久留米、東京と4つの会場で臨床セミナーを開催する運びとなりました。講師はすべて現場で活躍されている先生方にお願いいたしました。最初はだれでも、どこから手をつけていいか分からないものです。その答えがこのセミナーから導き出され、そしてメディカルスタッフの質の向上とより良いチーム医療に繋がるきっかけになればと心より願っております。3学会認定呼吸療法認定士の更新クレジットも40点ついています。「呼吸ケアセミナー」のみならず、チーム医療CE研究会の臨床セミナーもよろしくお願いいたします。
当研究会の運営には多くの人が職種を越えて参加しています。そしてスタッフとして協力して活動しています。それでも仕事の合間での学術活動の上、マンパワーの不足や会場確保の問題から各地域でのセミナー開催には毎回不安をいだいています。私達、コメディカルは一人で出来ることは非常に限られていますが、病院、職種の壁を越えて関係者が英知をあわせれば、今まで出来なかったことが、出来ると信じております。
もし今年のセミナーで疑問が残ったら、来年は私達と一緒にセミナーを企画、運営して、問題解決の扉を自ら開きませんか。医療の質を高めるのはあなたの気持ち次第です!
JRCNの皆様の活動同様、私達も関係各位および関係各団体との連携と協力に努めていく所存です。今後とも良きパートナーとしてよろしくお願いいたします。