日本呼吸ケアネットワーク 特定非営利活動法人日本呼吸ケアネットワーク(JRCN)では、呼吸ケアの充実と人の交流を目的として活動しています。

エコロジー

*Column - コラム -

AARCレポート 第50回アメリカ呼吸療法学会参加記
昭和大学附属豊洲病院 内科 日本呼吸ケアネットワーク副理事長
田中一正
JRCN NEWS 2005.2.21 No,16

12月4日から7日までアメリカ:ニューオリンズにて第50回アメリカ呼吸療法学会が開催さました。JRCNからは理事長宮川哲夫、副理事長田中一正、理事野口裕幸、監事金子教宏、学術委員鵜澤吉宏が参加しました。他にも多くの日本人参加者が思い思いのツアーで参加されていました。

この記念すべき50回大会の国際評議会(Internatinal Council for Respiratory Care: ICRC)において日本のgovernor(代議員)として当会理事長宮川哲夫氏が推薦され、承認されました。

12月6日に行われたmeetingではICRC会長のJerome M. Sullivan氏の挨拶司会により、今年のInternational Fellowの方々の報告があり、その後websiteを使ったInternational Education Program Standardsの紹介がありました。3段階のレベルに分け教育プログラムが設定されています。
WWW.ircc.council.org から入ることができます。

また、AARCExecutive director/CEOのSam Giordano氏から「International COPD Coalition World COPD day」と題して講演がありました。 その後、各国の現状報告があり、お国柄が良く出ていて楽しいレポートでした。日本からは湘南鎌倉総合病院の渡部和臣先生が、これまでAARCとの連携を築いてこられ、昨年4月に他界された古賀俊彦先生の功績と呼吸療法セミナーの現状を話されました。続いて当会理事長宮川哲夫氏が安全で質の高い呼吸ケアを成し往くために新しく呼吸ケアネットワークをNPO法人として立ち上げ、今後活動していく所信を述べ、AARC関係者の協力を求められました。このNPO法人立ち上げ式ではICRC governorであるSaudi ArabiaのHassan Alorainy氏が講演してくれたことも話されました。また、呼吸ケアセミナーでお世話になっているInternational Fellow経験者の広島の徳永豊先生(徳永呼吸睡眠クリニック)がNIPPVの有用性と必要性を講演されました。

夜には国際委員会主催レセプションが開催され各国の方々と懇親が繰り広げられました。

学会発表では、「Meta-Analyses of Respiratory Physiotherapy Program in Japan」を宮川哲夫氏が、「Application of the New Facilitation System of Locomotor Respiratory Coupling For Pulmonary Rehabilitation of Patients with Respiratory Failure」を京都大学医療技術短期大学部の玉木彰氏が、「Resident Physician Competency in Operation of Mechanical Ventilators in setting of No Specialized Respiratory Care Practitioners」を亀田総合病院の鵜澤吉宏氏が発表しました。ほかに大阪の医師の発表が一件ありました。

展示会場では以前と違い、侵襲的人工呼吸器の展示は少なく、NIPPVがほとんどで、在宅用セットや小児用の器具が目に付きました。酸素濃縮器にも特徴的なものが出ていました。ひとつは超小型4.8Kgの濃縮器で93%O2が出、携帯可能です。もうひとつは濃縮器から携帯ボンベに酸素供給ができるものです。日本ではいずれも消防法などの規制で手続きに煩雑さのある液体酸素設備に先取りされていた世界が、濃縮器で出来るようになる装置です。

ぜひ多くの方にもAARCのスケールを味わって頂き、呼吸ケアの世界をご一緒したいと思います。

次回もまたJRCN企画でツアーをご提供したいと思います。ご一緒しましょう!

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人生三道
呼吸ケアセミナー実行委員会 実行委員長
田中 一正
JRCN NEWS 2004.11.12 No.15

本セミナーの母体団体である日本呼吸ケアネットワーク(Japan Respiratory Care Network:略称JRCN)が2004年2月9日、特定非営利活動法人(NPO法人)として設立となりました。本会の主要活動目的は、地域や各医療施設における呼吸ケアの実際に精通した医療要員の不足がリスクマネージメントからも問題である点を踏まえ、呼吸ケアの普及と向上ならびに情報ネットワークが国民の医療に繋がるとの立場にたち、包括的に呼吸ケアに携わる人を育成し、より前向きに活動できるよう、ネットワーク化し、知識の共有、活動レベルの向上を行い、呼吸ケアの普及と向上に貢献するものです。その活動の趣旨を広くPRし、全国の呼吸療法認定士、呼吸ケア従事者ならびに呼吸障害者に関わるすべての人に活動内容を認知されるよう強力な広報努力を推進することです。

この法人は呼吸ケア従事者の呼吸ケア知識の充実と技術の向上を図るとともに、呼吸ケアを通して、呼吸コンディショニング及び健康回復を改善維持し、広く国民の身体健康に貢献する.ことを目的とします。

(第3条 この法人は、広く社会・一般市民に対して呼吸ケアについての情報を積極的に発信・啓発するとともに、医療従事者に対して呼吸ケアの専門知識の情報提供と技術の向上を図ることを主目的とする。これらの活動を通じて、質が高くかつどこでも均等な呼吸ケアのサービスが受けられ、よって国民の健康と幸福に寄与し、社会の活性化を図ることを目的とする。)

これら活動目的のためにJRCN理事長である宮川哲夫氏をはじめ7名のアメリカ呼吸療法認定有資格者の方にお力添えを頂き、本セミナーにおいても学術委員として企画運営に携わって頂いています。
より多くの皆様と連携の出来る活動法人となることを念願しています。

私達の活動は1994年ラスベガスで開催された第40回アメリカ呼吸療法学会ツアーへの参加に始まりました。このツアーで出会った仲間(看護師、臨床工学技士、理学療法士、医師)が手作りのセミナーを1999年9月4・5日第11回呼吸療法セミナー(故古賀医療研究所所長古賀俊彦先生主催)「呼吸ケア医療の連続性」を開催し、その後のセミナー活動を開始しました。故古賀俊彦先生がお考えになりました呼吸療法セミナーは、呼吸ケアに関する知識や技術の向上に伴い良質の均等な医療を提供する為、医師を中心に臨床工学技士、看護師、理学療法士 薬剤師、臨床検査技師、などコメディカルと共に巧妙にシステム化されたチーム医療が必要であるとされた観点から開催が始まりました。古賀先生はまたアメリカ呼吸療法協会(AARC)ともご自身の手でつながりを開設され、日本への呼吸ケアシステムの導入を苦心されました。現在、多くの古賀先生との出会いを持つ人たちが各地にて集まりそれぞれに呼吸ケアの実践を目指して活躍しておられます。

先生は残念ながら今年2004.4.22に御逝去されました。心よりお悔やみ申し上げ呼吸ケアの発展充実を誓うものであります。
今回も多くお集まり頂いた諸氏に個人への医療が連続するようにまた医療の世界も人と人のつながりが連続してなされていくことをご理解頂き、今後の医療をご一緒したいと思います。

JRCN宮川理事長の従兄三道政信様よりお教えいただいた人生三道をここに古賀先生を偲び掲げさせていただき挨拶としたい。


人生三道

一、太い道でなければならない

ずるさや卑怯さがあってはならない相手の立場に立って誠実に事にあたることがよき友をつくる
よき友を多く持ち太い道の人生を助け励まし合って力強く歩む一歩でありたい

二、歩き続ける道でなければならない

立ち止まってはならない自分に与えられた人生の時間は待ってくれない刻々と過ぎていく初志を貫いた人生を歩み続けることであるそこに成功と栄光がある

三、足跡が残る道でなければならない

自分本位では足跡は残らない
人のやらないことをやりとげるもの人の心をゆさぶり共感を抱かせるもの次代の発展の手がかりとなるものが足跡となって残るのである

宮川実行委員長従兄三道政信様より

「三道の意味をお教え頂いた我々も心したい」
大会長 田中一正

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RTから見た呼吸ケア
看 護 師
小 原 史 子
JRCN NEWS 2003.3.15 No.9

 アメリカで呼吸療法士(RT)の資格を取得した後日本に戻り、現在JRCNの活動に参加している者が7名おります。先月、その中の5人が集まりました(下記に写真もあります)。それぞれが、アメリカの違う州で違う形式のプログラムを持つ大学で勉強し、いろいろな思いを胸に秘めながら現在日本で働いています。看護師、あるいは理学療法士というバックグラウンドを持つ我々は、それぞれの病院で看護部、あるいは理学療法部に所属した上で、呼吸療法部で活動しているのです。アメリカで学んだ知識を基盤に、今日本の現場で自分が出来る事は何か、そして何を目指したいか、個人レベルで、あるいは小さな組織の中で摸索しています。

私は口腔外科、脳外科の病棟、循環器ICUCCUに看護師として勤務した後、渡米しました。帰国後まだ仕事についておりませんが、日本の現場のニーズに、我々RTや呼吸療法認定士が応えられる、組織作りを考えているひとりです。今回は私個人の考えを記事にする機会を頂きましたので、皆様にお話することで、アメリカのRTの仕事がイメージでき、長い歴史を持つ日本の体制の一部を変えて工夫できないかどうか、ちょっと考えてみて頂ければ幸いです。

 今アメリカでは11万2千人の呼吸理学療法士が働いています。全米の8割の病院が呼吸療法部を持ち、800床以上の医療機関では100名近い呼吸療法士が24時間体制で勤務しているのです。日本に戻った我々にとって、現場は全く状況の違う世界です。なぜならアメリカのRTの業務が、日本では医師、看護師、理学療法士、臨床工学技士によって分散されているからです。具体的に言うと、病棟や集中治療室の基本的呼吸ケアや呼吸リハビリテーションは看護師、理学療法士が行い、人工呼吸器を含む器材の設置、交換、点検は臨床工学技師、そして人工呼吸器を装着している患者のマネージメントは医師が行っています。包括的な呼吸ケアを、分散すべきか統合すべきかについては賛否両論あるでしょう。呼吸療法士という職種を確立して統合する必要があるかどうか私にも分かりません。しかし高齢化による呼吸ケアの需要が増える中、日本も呼吸ケアの質の維持、向上が不可欠である事は確かです。では役割各が各職種の医療従事者に分散されている中で、それぞれの呼吸ケアのレベルを向上させる為に、各職種がどのようにリーダーシップを発揮し、協調し合っていけばよいのでしょうか。日本に3学会合同呼吸療法認定士試験制度が発足し7年が経過しました。今までに約7000名の呼吸療法認定士が誕生しています。その中の6割が看護師です。残念ながら、この認定士の活動は個人レベルのものに留まっているようです。呼吸療法に必要な知識、技術の習得の場となる教育機関が不十分である、呼吸療法認定士がやるべき業務が何かはっきり位置付けられていない、活動できる環境が各病院に準備されていない、看護師の免許がないと吸引や薬液吸入ができないといった法律上の問題などが散在しているのが現状です。今の段階で全国の病院が共通の認識をもつことは難しいと思いますが、せっかくこれだけの人数が全国にいるのですから、各病院で呼吸療法認定士に何を求めるかを定め、活動できる環境を提供していいけないでしょうか。近いうちに、呼吸療法士の活動、現状の問題を把握するためのアンケート調査を行う予定ですが、アメリカのRTの業務を真似るのではなく、日本のケアの弱い部分を埋められる様、そして各職種の連携を強化する為に呼吸療法士を稼動させたいものです。少数ではありますがチームを作って活動を始めている病院がありますが、是非活動内容や苦労話をお聞かせください。

 現在日本で看護師が行っているケアとアメリカのRTの業務で共通する内容は挙げてみました。

  • フィジカルアセスメント
  •   
  • 酸素療法
  •   
  • 吸入療法
  •   
  • 深呼吸、咳そう、痰喀出訓練(肺理学療法)
  •   
  • 気道のマネージメント
  •     
    気道、気管吸引     
    気管内挿管中のケア、気管切開中のケア   
  • 人工呼吸器の基本的管理と時間毎の作動確認
  •     
    (モード及びアラームの確認)   
  • 感染対策
  •   
  • CPR
 

これらのケアをアメリカでは看護師ではなく、RTが行っています。私の個人的な意見ですが、これらのケアの質は、ケア意識も技術も、細やかな配慮と器用さから見て、アメリカに負けていません。問題は個々の患者ケアを評価する指標を持っていない事と、日本の看護師の仕事が多過ぎる事です。同じ病院で働く呼吸療法認定士がチームを組み、上記の呼吸ケアの見直し、評価基準の作成を含むマネージメントに責任をもつのも呼吸ケアを充実させるひとつの方法だと思います。時間外のボランティアではなく時間内の勤務を確保するには、病院の中で実績を作るしか、今は方法がないのです。個人レベルの学習に留まらずチームとしての行動を起こしてみませんか。我々の活動が一歩進めば、将来的には全国に数箇所、呼吸療法認定士が学ぶ臨床教育機関を築くことになると思うのです。

 アメリカの各州や各病院によって異なりますが、アメリカのRTの業務の中で、日本の医師の分野に入り込んだ内容があるので、少しご紹介します。治療では、気道抵抗、コンプライアンス測定などによる呼吸器系の病態の査定、ガス分析解読、人工呼吸器の設定、変更、プロトコールに適応する患者の一般的な人工呼吸器のウィーニング、抜管までの管理を医師の指示に従って行います。これによって病院は今より多くの人工呼吸器装着患者を治療、ケアできるだけでなく、随時RTが、安全で適切な呼吸器設定下で患者が過ごしているか観ていますから必要な設定変更、ウィーニングのタイミングを図ることができますし、看護師は別のケアに時間をかけられるのです。このような種類のRT業務が機能する前提にはAARC(American Association for Respiratory Care)のガイドライン、各病院のマニュアル、プロトコールが存在します。人工呼吸器のウィーニングの困難な慢性期患者や重症患者の呼吸管理については、マニュアル外ですので医師からの詳しい指示を受けます。これらの管理を日本で医師以外の職種がやるべきなのかどうか、現在日本の病院で活動中のRTの方たちと、もっと意見交換できたらと思います。日本の医師の治療部分を他の職種が担うのと、我々の呼吸ケアをレベルアップさせる事とは意味が違います。これを混同してはいけないという事を一言付け加えます。

 今回の集まりで出た話題を少しご紹介します。日本の呼吸器の専門書は、なぜ難しく書いてあるのだろうかという話になりました。英語の本はびっくりするほど読みやすいのです。呼吸生理、病態を簡潔に説明しています。例えばガス分析の解読方法をいとも簡単に説明し、CO2,レベルの異常は換気の問題、O2レベルの異常は酸素化の問題として病態を分けて整理してあるのでわかりやすいのです。気道レベルの問題か、肺レベルの問題かを、気道抵抗やコンプライアンスの変化で評価しながら、呼吸器設定変更の考え方を教えるなど、アメリカでの授業の進め方を是非とも日本に取り入れたいと、意見が一致しました。

 呼吸療法と言うと、肺理学療法、排痰法と捉えがちで、手技を習得するための勉強会はいつも満員御礼です。大切なのは呼吸生理、咳そうの原理を再認識し、各排痰法の吸気呼気量、吸気呼気流速との関係の理解から、その患者の状況にあった手技を選択できる知識を習得出来る事で、勉強会にこの内容を盛り込む話が出ました。

 ある病院の呼吸療法部に他院、院内の呼吸療法認定士の人達が研修に来ました。この様な研修の場が全国数箇所にできれば、呼吸療法認定士のチームを立ち上げようとしている病院に提供でき、病院間のネットワークも広がるのではないでしょうか。以上、今月の報告でした。

エコロジー
左から、押味由香  小原史子  鵜澤吉宏  岩本志津  宮川哲夫  南雲秀子

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